自然環境に関する神様
綿津見神(おおわたつみのかみ)
◆この神様の別称
綿津見神(わたつみのかみ)
海神(わたつみのかみ)
◆この神様の神格・神徳
神格:海の神
◆この神様が祀られている全国の主な神社
沼名前神社[広島県福山市鞆町]
渡海神社[千葉県銚子市高神西町]
日高見神社[宮城県本吉郡唐桑町]
綿津見神社[福島県原町市馬場]
大綿津見神は、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の神生みによって生まれた神様です。
神話では最初に登場する海の神となります。
『古事記』で海の神三神が生まれた時には、最初に生まれたのが大綿津見神で、次に速秋津日子神(ハヤアキツヒコ) とその妻神の速秋津比売神(ハヤアキツヒメ)の2神が生まれたとされています。
神名の「ワタ」は海を意味し、「ツミ」はつかさどるということで神とか精霊を意味します。
海を「ワタツミ」というように、この神様は「海」そのものを表わしています。
よって、役割も広くとらえられて海の全てをつかさどることとなります。
さらには、魚介類をはじめとする海の中の生物全ての支配も守備範囲とする海神ともいわれます。
大綿津見神は神話の中では、あまり名前が出てきません。
その代わりに「海神」という名前で登場していることがあります。
海幸・山幸神話では、釣針をなくした山幸彦が訪れる海宮の主で海の支配者として山幸彦を助けています。
豊玉姫命(とよたまひめのみこと)と玉依姫命(たまよりひめのみこと)という美人姉妹をもつこの海神は、大綿津見神だといえます。
事代主命(ことしろぬしのみこと)
◆この神様の別称
八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)
積羽八重事代主神(つみはやえことしろぬしのかみ)
◆この神様の神格・神徳
神格:託宣神、海の神、福神
神徳:海上安全、豊漁、五穀豊穣、商売繁盛、福徳円満、開運、厄除け、病気平癒など
◆この神様が祀られている全国の主な神社
美保神社[島根県八束郡美保関町]
長田神社[兵庫県神戸市長田区長田町]
久伊豆神社[埼玉県越谷市越ケ谷]
三嶋大社[静岡県三島市大宮町]
鴨都波神社[奈良県御所市宮前町]
今宮戎神社[大阪市浪速区恵比須]
今宮神社[京都府京都市上京区紫野今宮町]
伊古奈比槇命神社[静岡県下田市白浜]
大湊神社[福井県坂井郡三国町安島]
その他恵比寿神が祀られる西宮神社など
事代主命は、今では海上安全の神、漁業の神の神、市場の神として神社に祀られています。
また、福の神のエビス神ともいわれ広く信仰されている神様です。
神名の「コト」は、神の言葉の「言」で、「シロ」は代理を意味します。
よって「コトシロ」とは、神の託宣を代行する依坐(神霊が憑依する霊能者)を意味し、その機能の神
格化であるこの神様は、本来の性格が託宣神だと考えられています。
他に「コトシロヌシ」は「事を知る」とも解釈され、もともと固有名詞ではなく一種の役職名だったという説もあります。
事代主命は、大国主命の子で、国譲りのときに父神に命じられて神の神意をうかがい、その託宣によって支配権の譲渡を決定しました。
島根半島の東端にある美保神社では、毎年四月七日に青柴垣神事が行なわれます。
これは国譲り神話の事代主命の故事にちなんだものなのです。
また、事代主命をエビス神として祀る神社も多いです。
両神を結びつけているのは、海の彼方から来るという訪問神の考え方で、基本的な性格が海の神、漁業の神という共通性からです。
エビス神と結びつくことによって、事代主命は現在のように農商工業の神という幅広い機能をもつようになりました。
七福神のエビス神が大鯛を小脇に抱えて笑っている姿は、事代主命が大の釣り好きであるというこ
とから連想されたものといわれています。
国譲りの時にも、事代主命が出雲国の美保の岬へ釣りに出かけていたとあります。
その釣りに出かけた土地に祀られているのが現在の美保神社です。
磐長姫命(いわながひめのみこと)
◆この神様の別称
石(岩)長比売命(いわながひめのみこと)
◆この神様の神格・神徳
神格・神特:岩の神、寿命長久の神
◆この神様が祀られている全国の主な神社
大将軍神社[京都府京都市北区西賀茂角社町]
大将軍社[京都府京都市伏見区(藤森神社境内社)]
浅間神社[静岡県沼津市千本郷林]
銀鏡神礼[宮崎県西都市大字銀鏡]
三島神社[愛媛県北宇和郡津島町]
磐長姫命は、岩のように堅固で永久不変なことを象徴する女神です。
名前に「磐」の字を当てるのは常磐の意味で、生命長久の意味が込められています。
『古事記』の中の有名な話の一つに磐長姫命が出てきます。
それは、美人の妹の木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)が天孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に結婚を申し込まれた際、父の大山祗神(おおやまづみのかみ)は、醜い姉の磐長姫命を一緒に差し上げました。
しかし瓊瓊杵尊は醜い姉を一目見て直ぐに磐長姫命だけを送り返してきたのです。
それを嘆いた大山祗神は、二人を差し上げた真意を言いました。
磐長姫命を差し上げたのは、瓊瓊杵尊の命が岩のように永久不変であることを願ってのことです。
妹の木花咲耶姫命を差し上げたのは、木の花が咲くように栄えることを願ってのことです。
それなのに姉だけを返してきた瓊瓊杵尊の命は、木の花が散るようにはかなくなるでしょうと。
それが天皇の寿命が短くなった原因だといわれています。
大屋都姫命(おおやつひめのみこと)
◆この神様の別称
大屋都媛命(おおやつひめのみこと)
◆この神様の神格・神徳
林業・木工業・建築業守護のほか、薪炭・船具・住宅などの守護。
また木種の神、木製品の神ともいわれています。
◆この神様が祀られている全国の主な神社
大屋都姫命神社[和歌山県和歌山市宇田森]
伊太祁曾神社[和歌山県和歌山市伊太祁曾]
猛島神社[長崎県島原市宮の町]
大屋都姫命(おおやつひめのみこと)は、素盞嗚尊(すさのおのみこと)の娘で、兄の五十猛命(いそたけるのみこと)と同じく木種の神様と同時に、木製品の神様としても信仰されています。
木材という人間の生活に必要なものを生み出す力は女性の神様を連想させます。
大屋都姫命(おおやつひめのみこと)の「屋」は、家屋のことです。
古代では宮殿のことを意味していたと思われます。
この神様は、樹木が家屋・船舶・家材などの構築物を生み出す霊力の象徴として祀られていたのです。
つまり、日本の木の文化の祖神といわれているのです。
五十猛命(いそたけるのみこと)
◆この神様の別称
大屋琵古神(おおやびこの神)
射盾神(いたてのかみ)
◆この神様の神格・神徳
樹木の神・植樹の神・木種の神、木材の祖神
造船・航海安全・大漁の守護神
商売繁盛・開運招福・悪疫退散・厄除けなど
◆この神様が祀られている全国の主な神社
来宮神社[静岡県熱海市西山町]
度津神社[新潟県佐渡郡羽茂町]
高瀬神社[富山県東礪波郡井波町]
広峯神社[兵庫県姫路市広嶺山]
猛島神社[長崎県島原市宮の町]
伊太祁曾神社[和歌山市伊太祁曾]
天上からもってきた木種を日本全土に撒き、日本の樹木が豊かに繁茂する環境をつくった神様だといわれています。
このような神話の元といわれる五十猛命は、古来から祀られていた名もない山や樹木の精霊とも考えられています。
日本全国を巡って植林事業を終えた五十猛命は、その後紀伊の国(現在の和歌山県)に住んだそうです。
和歌山県は日本でも有数の木材の生産地です。
この神様は、木材の祖神ともいわれています。