愛宕さま・秋葉さま



愛宕さま・秋葉さま[迦具土神(かぐつちのかみ)]

◆この神様の別称
迦遇槌命(かぐつちのみこと)
火之迦倶槌神(ひのかぐつちのかみ)
火産霊神(ほむすびのかみ)
火牟須比命(ほむすびのみこと)

◆この神様の神格・神徳
神格:火の神、鍛冶の神、防火の神
神徳は、鎮火、火難除け、郷土守護など

◆この神様が祀られている全国の主な神社
秋葉山本宮秋葉神社[静岡県周知郡犬居町領家]
愛宕神社[京都府京都市右京区嵯峨愛宕町]
伊豆山神社[静岡県熱海市伊豆山]
陶器神社[滋賀県甲賀郡信楽町]
その他全国の愛宕神社、秋葉神社、陶器神社、火産霊神社など

火は人間にとって「脅威と恩恵」の2つの面をもっています。
例えば、民間信仰で家の台所に祀られている竃神(かまどがみ)とか荒神(こうじん)と呼ばれる火の神がいます。
普段この神は、人間の生活を守り富を与えてくれたりするとされています。
しかし人間がその神を穢す(けがす)ようなことをして怒らせると、荒れ狂って全てを焼き尽くし、家や財産、さらには命さえも奪ってしまいます。
このような「脅威と恩恵の2面性」は、自然神の基本的性格ですが、とくに火の神はその落差が激しいのです。
そうした特徴は、人間の生活に非常に密着した神様だからこそ備えるものだといえます。
だからこそ人間は、古くから火の神を大事に祀ってきたのです。
そういう火の神の代表格が、この迦具土神なのです。

愛宕神社や秋葉神社の祭神としての迦具土神(火産霊神の名で祀られていることも多い)は、防火の神として知られています。
愛宕信仰の本拠地である京都の愛宕神社は、もともと境の神(塞の神)を祀ったもので、都の東に位置する比叡山に対して、西にあって都城鎮護の神として崇められていました。
とくに都を火災から守ることを願って同社の若宮に迦具土神が祀られたことから、鎮火・防火の神として霊威が高まったのです。
一方、秋葉信仰の総本社は、静岡県の秋葉山本宮秋葉神社です。
秋葉神は古い山岳信仰から発して、後に仏教と習合して秋葉山大権現(正式には秋葉山三尺坊大権現といいます)として信仰されるようになりました。
そもそも秋葉山大権現は、1に剣難、2に火難、3に水難の神徳ありとされたことから、中世以来、武士の崇敬を集めました。
後には専ら火難除けの信仰が深まって、特に江戸時代に火事の頻発した江戸では庶民の間で、火難除けの秋葉信仰は大いに広まりました。
現在は電気街で世界に知られる秋葉原の名前も、当時の信仰の名残を伝えるものなのです。

迦具土神は、火をつかさどる神である鍛冶の神としての信仰や、焼物の神としての顔もあります。
焼物製作の生命ともいえるのが火加減です。
陶器を窯で焼き上げる時には、計算と経験を尽くしたあと最後は火の神の手に全てを委ねるといいます。
そこから迦具土神は、焼物の神としても信仰されているのです。
日本の焼物産地には、だいたい陶磁器業者の守護神を祀る陶器神社があり、迦具土神祀られています。