熊野社系



熊野社系[熊野神(くまののかみ)・熊野三社]

◆熊野神(くまののかみ)とは
家都御子神(けつみこのかみ):熊野本宮大社
熊野速玉男神(くまのはやたまのおのかみ):熊野速玉神社
熊野夫須美神(くまのふすみのかみ):熊野那智大社

◇家都御子神(けつみこのかみ)の別称
櫛御気野命(くしみけぬのみこと)

◇熊野速玉男神(くまのはやたまのおのかみ)の別称
速玉男之命(はやたまおのみこと)

◇熊野夫須美神(くまのふすみのかみ)の別称
夫須美神(ふすみのかみ)

◆この神様の神格・神徳
国土安穏、延命長寿、無病息災、漁業の神、開運招福、出世成功、商売繁盛、病気平癒、厄除け、盗難除け、縁結び、夫婦和合、子宝・安産など

◆この神様が祀られている全国の主な神社
熊野本宮大社(熊野座神社)[和歌山県東牟婁郡本宮町]
熊野速玉大社(熊野新宮)[和歌山県新宮市新宮]
熊野那智大社(熊野夫須美神社)[和歌山県東牟婁郡那智勝浦町]
その他全国の熊野神社、十二社神社など

熊野信仰の本拠地は、紀伊国(和歌山県)の熊野にあります。
そこに熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の三社があり、これを総称して熊野三社、あるいは熊野三山、三熊野などと呼び、その神霊が熊野神です。

熊野神に関して、最近の若い年代層にもよく知られているのが、サッカー日本代表のエンブレムであり、守り神にもなっている三本足の八咫烏(やたがらす)です。
神武東征神話の中で、神武天皇が熊野に上陸して奥深い山中を進軍しようとした時に、天照大神に派遣されて道案内の役目を果たしたのが八咫烏といわれています。

カラスと熊野神の関係は古く、昔、この地に熊野神が海の彼方の他界から上陸した際、一羽のカラスが現われて案内をしたという伝説があります。
そんな伝承もある八咫烏は熊野神の使いとされていて、熊野三山の護符である牛王宝印には三本足のカラスの絵が描かれています。

熊野本宮大社の祭神家都御子神は、素遺嗚尊の別名ともいわれていて、その本性は樹木神とされています。
熊野速玉大社の祭神である熊野速玉男神は、伊邪那岐命・伊邪那美命の御子の事解男之命ともいわれます。
熊野三山は、それぞれ山、滝、海という自然の神秘性を背景としていますが、他の二社がそれぞれ山と滝に関係する特徴を示していることからすると、速玉大社は海ということになります。
もう一つの熊野夫須美神を主祭神とする熊野那智大社は、古くからわが国第一の名滝として知られてきた那智の滝を御神体としています。

熊野は古くから山岳信仰の聖地とされてきましたが、元々は那智の滝の神秘性から発祥したものです。
平安時代になると密教が盛んになり、その影響で熊野の山岳信仰は修験道として興隆し、熊野山伏の拠点になりました。
その熊野山伏に守られて発展した熊野三山は、朝廷の厚い崇敬を受けて第十六代仁徳天皇にはじまり第九十代亀山天皇まで、多くの天皇、上皇、皇后、女院(天皇の生母や内親王)が熊野に行幸しました。
熊野の三社は、それぞれに主祭神は異なりますが、その一方で相互に祭神を勧請してそれぞれの神を一緒に祀っています。
そうすることによって共通性をもつようになり一般に三社の神霊を総称して熊野神、または熊野大神と呼んでいます。