日吉・山王・松尾社系
日吉(日枝)・山王・松尾社系[大山咋神(おおやまくいのかみ)]
◆この神様の別称
山末之大主神(やますえのおおぬしかみ)
山王権現(さんのうごんげん)
◆この神様の神格・神徳
比叡山の地主神、天台宗の護法神、諸産業信仰の神、家系繁栄、厄除け開運など
◆この神様が祀られている全国の主な神社
日吉大社東本宮[滋賀県大津市坂本]
松尾大社[京都市西京区嵐山]
日枝神社[東京都千代田区永田町]
その他全国の日吉(日枝)神社、松尾神社
大山咋神は、日吉(日枝)神社や松尾大社の祭神として、その霊威が広く全国に広がっている実力派の神様です。
神話伝承のなかでも大山咋神は、丹塗矢(赤く塗った鏑矢)に化身する神霊としてよく知られています。
山の神霊であるこの神が、矢となって若い乙女のもとを訪れ、結婚して御子神を生んだりする神婚説話で、いわゆる丹塗矢伝説といわれるものです。
大山咋神は、もともと比叡山(日枝山)に宿る山の神(地主神)で、延暦寺の鎮護神としての顔ももっています。
大山咋神に関して、丹波国(京都府)の浮田明神にまつわる古い伝承があります。
それによると、太古の昔に湖水であった丹波国一帯を大山咋神が切り開いて国土としたことから、人々は感謝して祠を建てて祀ったといいます。
この話からイメージされる大山咋神は、国土開発の神としての姿です。
実際にその御神体は鍬(くわ)であることから、農耕振興の守護神として崇められたのでしょう。
こうした性格と深く関連するのが、大山咋神が松尾大社の祭神で、しかも伏見稲荷大社を奉斎(ほうさい)した秦氏の総氏神だったということです。
5~6世紀頃朝鮮から渡ってきた秦氏は、山城国や丹波国を開拓して農耕生産を興して松尾山の神を一族の総氏神として祀りました。
それが京都最古の神社といわれる松尾大社なのです。
この松尾大社では、大山咋神は醸造の守護神として崇敬を集めています。
本来、酒造とは関係ありませんですたが、松尾大社の近くの秦氏の氏寺・広隆寺の境内に祀られていた大酒神社の酒造の神が合祀されて、醸造の神として神格を備えるようになったそうです。
もともと農業の守護神としての性格をもっていたことから、穀物から生まれる酒の精霊とも容易に結びついたのでしょう。
十一月初句の上部祭は、醸造業繁栄祈願の祭として有名で全国から酒造業の関係者が参まります。